大学へは行かないと言った高校生は、立派に大学を卒業した

結婚式で昔の教え子に再会した。

ベルマーレ時代に関わった　D　。

私は、ベルマーレを離れて９年経つ。

それ以来彼に会っていなかったので、９年振りの再会。

彼に会って　『　ありがとう　』　を言いたかった。

彼は、高校３年生の時、ほとんどの仲間が大学進学を希望していた中、『　大学へは行かない　』　と言っていた。

理由を聞くと、

『　大学へ行くには学費等の負担が大きく、ウチは母子家庭なのでお母さんに迷惑をかけられない　』

と語った。

『　じゃー、学費が一切掛からなかったらどうだい？　』

『　大学へ行ってサッカーしたいです　』

私は、あちこちの大学サッカー部関係者に連絡をし、彼を学費免除で受け入れてくれる大学を探し回った。

私たちは、その年、全国大会でベスト８にまで勝ち上がったため、ある１校が、彼をサッカー推薦で、学費免除で受け入れてくれる、と言ってくれた。

しかし、その大学へ行くには、親元を離れて１人暮らしをしなければならない。

彼は、学費は免除されるが、４年間の生活費が必要だった。

その為、生活費をどのように工面するか考えなければならなかった。

すると、彼は、自ら奨学金を探し、申請した。

そして、生活費を稼ぐ為に、バイトもすると言った。

だから、彼が大学へ行くには、相当な覚悟が必要だった。

結婚式で彼に再会した時、彼に伝えた。

『　Ｄ　ありがとうな　』

彼が高校三年生の時、一緒に考え、相談し、行動し、彼の大学入学となった。

大学へ入ることは出来たが、大学生活、サッカー、生活費を稼ぐバイトなど、彼は、四年間頑張らなければならなかった。

彼は、それをきちんとやりぬき、大学を卒業した。

私は、D　が頑張り続けてくれたことが、とても嬉しかった。

だから、Ｄ　に　『　ありがとう！　』　と感謝の言葉を言いたかった。

Ｄ　は、現在、結婚して子どもが二人いる。

彼が、既に家庭を持っているのが不思議な気分だ。

私は、　Ｄ　のような若者を尊敬する。

そして、彼のような逞しい青年が　ドイツサッカースクール　から育つことを夢見ている。

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