先日のスクールで、ゴールの置き方を変えてみた。
サッカーの試合では、ゴールはコート左右両端に向かい合った状態で置かれているのが普通だ。
しかし、この日は、2つのサッカーゴールを、コートの真ん中に置いた。
2つのゴールが、お互いに背を向けるようにだ。
そして、子供たちを集めた。
『 さーて、ゲームをしよう! 』
子供たちの反応は様々だった。
『 えー、無理無理! 』
『 どうやって? 』
『 これ、サッカーのゲームじゃない! 』
『 こんなのないよ! 』
子供たちの様子を見ていて思った。
彼らの頭の中は、固まっている。
彼らにとって、サッカーゲームのゴールは、コートの両端に向かい合ってあるものなのだ。
子供たちの発言を聞いた後も、俺は言い切った。
『 これで、ゲームをするよ! 』
また、大勢の子供たちが言う。
『 無理! 』
無理!と言ってしまえば、残念ながらそこで全てが終わってしまう。
サッカーの試合が出来ないではないか?
どんな状況でも、考え順応できる事は大切。
さて、どうしたものかと俺とシモコーチは様子を伺う。
例えば、ドイツへ行けば、日本と同じ様に車が走る。
しかし、走るのは、道路の右側だ。
日本は左側。
日本とドイツでは、反対だ。
日本では当たり前のことが、海外では当たり前で無い事はしょっちゅうある。
いくら日本で生まれて、日本で育ち、日本で運転免許を取得したからと言っても、ドイツで車を左側通行運転することは不可能だ。
ドイツにいれば、右側走行に慣れなければならないし、日本と異なる左折、右折を経験しなければならない。
それが無理!ならば、ドイツで日本人は運転できない事になる。
常に、安全に運転するにはどうするかを考えなければいけない。
子供たちに、ちょっと変わったゲームをさせようとした。
しかし、残念ながらゴールはこうあるべきだ!と言う固定観念が頭の中で邪魔をして、思考能力は停止状態。
『 無理! 』 という一言で、自ら考える事をストップしていた。
子供たちの発想力、順応性の悪さが浮き彫りになった。
そんな中、どのようにゲームが出来るかを考えていた子たちが数人いた。
かなり時間は掛かったが、自分たちなりに考え、皆を動かし始めた。
俺は、その子達を見て感心したし、安心した。
その子たちには、適応能力があったからだ。
やっと子供たちで考えた末に、ゲームをスタートすることが出来た。
ゴールがコートの両端に対面していなくても、面白くゲームは行われた。
子供だからこそ、考えると面白い発想が出てくることが多々ある。
改めて、子供たちには、大人がこうするべきだ!と言い切ることなく、考えさせる習慣が必要だと思った。