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日本の常識が世界の常識ではない

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先日、海外の子供たちの試合を見た。

 

参加していた海外チームは、
ボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン)
ベルリン選抜(ドイツ)
コリンチャンス(ブラジル)

 

 

見ていて面白いなーと思った。

アルゼンチンとブラジルの子供たちは、相手選手に接触すると、すぐに痛がった振りをする。
ちょっとぶつかっただけで、芝のピッチに寝転がり、かなり痛がる。
レフリーに立ち上がるようにと指示されると、いかにも痛そうに起き上がる。
しかし、プレーが再開されると、痛がっていたはずの選手が、すぐに全力でダッシュする。
あーーーー、案の定、全く痛く無いじゃんと言った感じだった。

 

かつて私がドイツにいた頃、1860ミュンヘンOBのヴェーバーさんに言われた。

日本代表の選手達は、相手選手とぶつかった時、直ぐに立ち上がるよね。
もっと痛がって転げまくっていたら、相手選手にイエローカード(警告)が出たり、レッドカード(退場)が出るのにね。
カードが出たり、フリーキックをもらえれば、ゲームを有利に進められる。
日本人は、ほんとに真面目過ぎるよね、と。

 

1860ミュンヘンでコーチをしていた時、よく子供たちと一緒にスタジアムへボールボーイをやりに行った。
プロの興行、ブンデスリーガでは、クラブの下部組織の子供たちがボールボーイを行うのが通例だった。
ボールボーイとは、試合中にコートからボールが出てしまった時に、ボールを拾い、選手にボールを渡す係だ。
試合前、子供たちの控え室に育成責任者がやってきて、子供たちに指示をする。
トップチームの1860ミュンヘンが先制を許し、追いかけている試合状況では、ボールがコートからアウトしたら、直ぐにボールを選手に渡すこと。
時間短縮だ。
もし、トップチームがリードしている場合は逆で、ボールがコートからアウトした際、ボールボーイは、選手にゆっくりとボールを渡すこと。
相手チームの選手がボールを早く欲しがっても、上手く時間を掛けること。
時間を掛ければ掛けるほど、時間は流れ、トップチームが勝利に近づけるから。

ボールボーイも、勝利ヘ向かうクラブの大事な役割だった。
ある時、1860ミュンヘンが勝っている試合のハーフタイムに、育成責任者が子供たちの控え室へやってきた。
今日は、トップチームがどうしても勝ち点3が欲しい。
後半は、もっとゆっくりボールを選手に渡すように、と指示をした。

日本のJリーグだったら、マッチコミッショナーに注意されると思うが、ドイツではこんな事が普通に行われる。
だから、ドイツ・ブンデスリーガでは、ホームチームに利がある。
クラブ愛と勝利への執念がそうさせる。
それもヨーロッパのフットボール文化の一部だ。

 

先日、久し振りに海外のアルゼンチン、ブラジル、ドイツ、そして日本の子供たちの試合を見ていて面白かった。
各々の国民性、民族性がピッチ上に現れる。
海外の子供たちの振る舞いは、日本人とは違う。

もちろん、勝負の世界で正々堂々と戦う姿勢は重要だが、クリーンで真面目な日本の常識ばかりが、世界の常識ではないと改めて感じました。

 

 

 

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