かつて俺がいたプロクラブで、あるお母さんの素晴らしいサポートを見た。
小さな町の大会だった。
子供たちは、試合に向けてウォーミングアップをした。
その後、チーム全員の荷物が置いている場所に戻った。
ユニフォームに着替え、試合に出場する準備をし、試合のベンチへ移動する。
その時、Aくんがすね当てを荷物置き場に忘れていた。
すると近くにいたお母さんが走ってきて、Aくんのすね当てを取り、Aくんへ向って走っていった。
お母さんは、Aくんにすね当てを渡し、Aくんは受け取ってベンチに向った。
その光景を、ベンチから見ていた俺は、『あー』っと溜息をついた。
後日、大事な公式戦で、子供たちが試合前にレフリーから用具チェックを受けていると、チームがざわざわしていた。
俺は、子供たちに 『どうした?』 と聞くと、これから試合に出るAくんが焦っていた。
彼は、すね当てを付けておらず、レフリーのチェックに引っかかっていた。
彼は、慌てて荷物の方へ走っていったが、俺は、他の選手を起用し、両チームの選手たちはピッチへ入場、挨拶を済ませ、試合が始まった。
結果的に、すね当てを忘れたAくんは試合に出場できなかった。
俺は、彼の為に、交代選手を初めから投入することになり、ルール上、彼は、スターティングメンバーにいたが交代した形になり、試合に出場できなくなったわけだ。
その瞬間、俺は、以前、お母さんが試合直前にAくんにすね当てを渡していた光景を思い出していた。
以前の町の試合でAくんがすね当てを忘れた際、お母さんは、彼が試合に出場する為にと、お母さんがすね当てに気付いて取りに行き、彼に渡した。
結果、彼は、試合に出場できた為、お母さんのサポートは良かった。
しかし、そのお母さんのサポートのお陰で、彼は、ミスをして痛い目に遭う経験が出来なかった。
お母さんは、その機会を奪ってしまった。
Aくんは、町の試合には出場したが、残念ながら、ここぞ!と言う大切な試合で大失敗することとなった。
お母さんは、良かれと思い、子供のためにと行動した。
結果、息子のミスを防ぐことが出来た。
しかし、息子は、人として成長する機会を失ったとも言える。
親は、自分が良かれと思う前に、まず、それが子供にとって良い事なのかを考える必要がある。
子供がミスをすれば、その時味わった感情は、一生忘れないものになる。
だからこそ、子供は、人は、ミスをして育ち、成長する。
俺は、子供がどんどんミスしたら良いと思う。
その度に、子供に考える機会を与え、次に繋がるように導いてあげれば良い。
大人は、子供の失敗に気付く。
しかし、ちょっとその失敗を見逃して、我慢して、見守ってあげる。
失敗したら、次は失敗しない。
そしたら、褒められる。
この繰り返しで、どんどん子供は考え成長していく。
その成長の過程を、親として、ぜひ楽しめるようになってほしいものです。
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