先日のドイツサッカースクール(長野市)終了後の一コマ。
帰り際にTくんが私に言った。
『 コーチ、ソックスを注文してください! 』
私は???
私はTくんに、思わず答えた。
『 注文してくださいって、俺が注文するのか? 』
するとTくんは、とても恥ずかしそうに照れてしまった。
そうしたらTくんは恥ずかしがりながら、Tくんの後ろにいたお母さんの陰に隠れてしまった。
Tくんは、そこで何も言えなくなってしまった。
Tくんは、お母さんに何かを言って欲しそうだったが、お母さんは何も言わず、Tくんを温かくただ見ていた。
Tくん、私、お母さん ・・・・
三人で向き合って無言の時間が流れた。
Tくんは、自分が言わなければ、この場は終わらないと察したのだろう。
最後、勇気を出して私をきちんと見てTくんは口を開いた。
『 コーチ、ソックスを注文したいのでお願いします 』
私は、一言。
『 はい、分かりました。よく言えたね! 立派だね! 』
現代社会は過保護な親がとても多い。
子供が自分で喋られる、伝えることができる事でも、親が率先して話す。
特に、子供が大人を前にして喋ることができず黙ってしまうと、ついつい大人は先走って喋ってしまう。
それにより、子供はしゃべる機会を失っている。
喋らなくても物事が進んでしまう為、子供たちは喋らなくて済む。
結果、子供たちのコミニケーション能力は、どんどん低くなっていく。
子供たちのコミュニケーション能力が低くなってきているのは、明らかに子供を取り巻く大人の責任でもある。
Tくんのお母さんは、最後までTくんが自分で喋ることを待っていた。
さほど長い時間ではない。
しかし、相手がいて、無言の時間が流れると、大人にとっては何とも言えない嫌な時間だ。
時間がとても長く感じられる。
子供に対して、『 早く言ってよ! 』 と思ってしまうし、声を掛けてしまう。
私は、T君が自分で言う事を待ち続けた。
そして、お母さんも同様だった。
その結果、Tくんは、最後に言い直しができた。
その一部始終を見守り、待ち続けたお母さんに拍手を贈りたい。
最後に、私は、Tくんに伝えた。
『 ドイツサッカースクールでは、間違いや失敗は、いつもOK。
ここでの失敗は何も恥ずかしくない。
間違いや失敗をしたら、それで学ぶ事が出来るから、良いよ! 』
良い親子像を見た。
Tくんは、間違いを言い恥ずかしがっていた時とは違い、自信に満ちていた。
彼は、清々しい笑顔で 『 コーチ、さよなら~! 』 と帰って行った。
また、子供が一つ成長する嬉しい瞬間に立ち会う事ができました。