ドイツサッカースクールでの一場面。
小学生スクールで、2人1組のゲームを行っていた。
毎回、試合が終わるたびに、組の相手を交代し、またゲームをする。
すると、組の交代をしている時、2人の子供がポカーンとただ突っ立っていた。
私は、『 どうした? 』 と聞いた。
すると、Aくんが答えた。
『 Bくんとは、さっき、一回試合をした 』
私が決めたルールは、一度試合をした相手とは組を作らない事だった。
一度試合をしていたAくんと、Bくんが、最後に残ってしまったのだが、ルール上は、組になることが出来ない。
きちんとルールを守っていた。
気の強い子であれば、言えたかもしれない。
『 僕たち、一度同じ組になったから、誰か、変わって~! 』と。
しかし、残ってしまった2人は何も言えずに、モジモジしていた。
周りを見渡すと、他の子供たちは、全員相手が決まり、既に組になっていた。
その時、私は、その場に関ることなく、状況を黙って見ていた。
試合を始められない、シーンとした時間が流れていた。
その沈黙を破って、Cくんが立ち上がって言った。
『 俺たちが分かれよう! 』
Cくんと一緒の組になっていたDくんは、ウンウンとうなずきながら、Aくん、Bくんの方へ移動した。
Aくん、Bくんが、困っていた時、まわりの子供たちは、自分の相手が決まっていて、試合が始まるのを待っていた。
全員が、Aくん、Bくんの状況を把握しても、みんな自分のパートナーを変えようとはしない。
その中で、Cくんの振る舞いは素晴らしい。
Cくんは、その場をどうするべきか考えた。
シーンとしている中、困っている友達に勇気を持って関った。
声を掛け、行動した。
仲間への思いやりもあった。
Cくんの行動に、Dくんも賛同することが出来た。
Cくんの考えで、Dくんも行動し、Aくん、Bくんは無事に新しいパートナーと組を作ることが出来た。
小学生ながら、とても良い行動だった。
コーチが声を掛け、指示すれば、その場はスムーズに進む。
しかし、時間がかかっても、子供たちが自分で考えて行動出来れば、必ず良い成長につながる。
Cくんと、Dくんを見た他の子供たちも、共に思いやりと行動力を学んでいるでしょう。
この時、私は、CくんとDくんをたくさん褒めてあげた。