6年生大会の翌日、練習で面白い事があった。
Y 君が足を引きずりながら練習会場に来て、俺に言った。
『 コーチ、足が痛いので、今日は練習出来ません。見学します 』
Y 君の両足、ふくらはぎに大きな湿布が貼られていた。
『 昨日の試合で、ふくらはぎを蹴られて腫れているのか? 』
俺は、Y 君に聞いた。
そうではないらしい。
色々と質問したが、打撲では無いし、肉離れでも無さそうだ。
やっと俺は、その痛みの原因が筋肉痛だとわかった。
前日の大会では、午前中に予選リーグ2試合、午後に順位決定戦2試合、1日に合計4試合を戦った。
それも僅差のゲームばかりだった。
Y 君も、他の選手たちも、必死に、そして全力で走り、戦った。
トータル120分ゲームをしているので、翌日に筋肉痛になるのも無理は無い。
俺は、 Y 君に、トレーニングに参加するよう伝えた。
その瞬間、彼は、しかめっ面で無理です! と言いたげだった。
俺は、Y君に、湿布を剥がして、あえて身体を動かすようにと伝えた。
するとY君は、渋々と練習に参加し始めた。
ウォーミングアップでは、足が棒のようで、ピノキオのような動き方だった。
しかし、軽く一汗かき、徐々に身体が温まってくると、Y君は、いつものようにガンガン練習をするようになった。
練習最後のゲームでは、自ら参加を志願した。
この日のY君にとって、身体にも心にも良い傾向だった。
プロ選手たちは、90分フルに戦えば、足がつることも普通にある。
翌日は、筋肉痛で足がパンパンになるのは、日常茶飯事だ。
だから、翌日にリカバートレーニング (回復トレーニング) を行う。
大抵、ゆっくりと軽めのジョギングをし、その後、ストレッチ等を行う。
ボール回しをしたり、軽めの技術トレーニングを行うのは、チーム、監督の意向による。
リカバートレーニングをし、その後休息を取った方が、疲弊した身体を早く元に戻すことが出来る。
ウチのチームが、1日に4試合を戦ったのは、初めてだった。
Y 君が極度の筋肉痛になっても当たり前の事。
Y君が初めて味わう極度の筋肉痛だから、練習が出来ないと思っても自然な事。
しかし、Y君は練習最後の方では、身体も温まり、いつも通りバリバリと走っていた。
俺は、練習前のY君の弱気な発言から、最後には思いっきり走っていた事を笑いながら、茶化した。
その時のY 君の照れ笑いが、本当に印象的でした。
多分、練習の翌日も筋肉痛でしょう(笑)。