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いかなる時も強く前を向いて!それがやぶの中でも!

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先週末の6年生のリーグ戦会場で。
俺は、思わず『 あーーー 』 と2度、溜息をついた。

 

試合前のウォーミングアップ中、子供たちがシュートを打っていた。
すると、一人の子が打ったシュートは、ゴールの上を越え、更にサッカーコートのフェンスを大きく越え、ボールはコート外へ飛んでいった。
それは見事な、シュートミス。

俺は、ボールの行方を見に行った。
フェンスの外は、とにかく地面が見えないくらいに木や草が生い茂っている強烈なやぶ。
俺の見ていたところから、ボールが何処にあるかなど、さっぱり分からない。
と言うよりは、このやぶで、ボールを捜すのは大変だなー、と思った。

すると試合中、今度は、別の子が打ったシュートが、またもや柵を越え、やぶの中へ飛ばすではないか。
あのやぶの中でボールを捜すのは大変だと十二分にわかっていた。

 

しかし、まずは試合だ。

 

試合が終わった。
俺は、試合の片付け、着替え、統括よりもまず、子供たちにやぶへボールを捜しに行かせた。

俺は、あえて少し時間を空けてから行った。
すると、子供たちは、やぶを見ているだけだ。
数人が、やぶの中にいた。
しかし、そこは狭いが少し歩ける小道になっており、そこをみんなで行ったり来たりしているだけだ。
小道のまわりも、うっそうと茂った広大なやぶだ。
俺は、しばらくの間、子供たちの様子を見ていたが、子供たちは変わらず群れになってあーでもない、こーでもない、と言っているだけだ。

小学校で、トイレ掃除をしなければならない時に、遠巻きに便器を眺めて、仲間とくっちゃべっているのと同じ。
嫌な事は、やらずに済めばラッキー!と思うのはお見通しだ。

と言うわけで、子供たちに、まずサッカーソックスを膝上まで上げて、仲間と離れて各自やぶの中に入るように指示した。
そうすると、数人は、茂るやぶの中に、足を高く上げ、踏み込み入っていった。
しかし、数人は、前と同じく、誰かの後ろにくっついて歩き、既に踏みつけられて歩きやすい所を行ったり来たりしているだけ。
外からやぶの茂みを眺めているだけの子もいた。

俺も、シモコーチもソックスを膝上まで上げて、やぶの中に入った。
俺の腰くらいまである草木を踏みつけなければ、歩く事すら出来ない。
おまけに、子供たちが『バカ』と呼んでいる(正式名称は分からない)小さなチクチクした草の実が、ガンガンソックスにくっつく。
上から背丈のある、元気な草木を踏みつけ、ガンガン歩き、見晴らしを良くする。
するとどうだろう。
子供たちも全員やぶの中に入り、同様に草木を倒し、踏み付けながら歩き出した。
ふと見ると、全員でやぶを踏みつけながら歩き、かなり視界が良くなったではないか。

気が付けば、俺も、顔中にダラダラと流れる汗をかき、シャツは、汗でびっしょり。
しかし、俺は、指導者人生で、このような経験を何度もしている。
特に、湘南ベルマーレ時代は、グラウンドのすぐ横がやぶだったので、日常茶飯事だった。

気が付けば、俺のふくらはぎは、何かに引っ掛け血が流れていた。
やぶの中には、とげのある木々も沢山あったから、確かに途中で痛いと感じていた。
そして、手、足は、10箇所ほど虫に刺されていた。

 

どれだけの時間、ボールを探したか分からない。

まず子供が、ボール1つを発見。
子供たち全員から歓声が上がる。

そして、遂に、2つ目が見つかった。
やぶのあちこちから、大歓声が上がった!
1つ目よりも更に大きな歓声だ。

そりゃあ、やぶの中で大変な思いをして探した結果だ。
みんな本当に嬉しかっただろう。

その歓声は、試合でゴールを決めた時、試合に勝った時の様だった。

やぶの中のボール探しで、子供たちは学んでくれたはずだ。
最初から諦めるのではなく、まず、行動することで達成感を得ると子供たちに促し、訴えた。
一生懸命にやぶの中でボールを探した結果、痛い思いをした子もいたが、ボール発見の瞬間、子供たちの歓声は達成感を十分に現していた。

やり遂げた子供たちをリスペクトする。
だからこそ、今後も、難しい局面に立ち向かった時に、子供たちが、強く、前を向き考え行動して欲しいと願う。

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