先日、親友からの紹介依頼で、東京から若いサッカー指導者が話を聞きたいと長野へやってきた。
彼は、メモ帳にたくさん質問を書いていた。
事前に準備してきたらしい。
その質問を、片っ端から俺に聞いてくる。
俺は、一つづつ全てに答えた。
長野駅でコーヒーを飲みながら2時間、とにかく話をした。
そんな質問の中に、次の事があった。
『 指導者に必要なものって何ですか?』
俺は答えは
1、知識
2、人間性
3、経験値
指導者は、当然、1:知識が必要だ。
技術論、戦術論、分析、コーチング論などは当たり前に必要だ。
その他に、身体系であれば、解剖生理学、運動生理学などの知識があることで、身体の仕組み、怪我等への対処ができる。
その他に、子供の成長に必要不可欠な栄養学も大切だ。
知識の量に終わりは無く、良い指導をしたければ、更に学ぶ必要がある。
次に2:人間性。
指導をする相手が、コンピューターやロボットでは無く、生身の人間だから、人と人の付き合いが大切だ。
自分の思いや意思が相手に伝わり、相手の考えをも感じ取れる関係性が必要。
指導者と選手に信頼関係が無ければ、選手、チームに成長は無い。
最後に3:経験値。
知識を得るためには、本やDVDを買えば、参考資料は手に入る。
しかし、経験値は、長い時間が必要。
指導を1年や2年やったくらいでは、なかなか手に入らないものだ。
サッカー指導者は、常にチーム活動の指導をして学ぶことが出来る。
日々トレーニングをし、週末に試合がある。
試合で何が出来て、何が出来なかったかを分析し、確認する。
そして、その分析をもとに、次のトレーニングを構築する。
だから、指導者は、1シーズン、1年を通じて子供達を指導し、1つの経験値を身に付ける。
昔、ドイツ・ブンデスリーガのクラブで指導をしていた時、少年サッカーの指導現場には、高齢な方が多かった。
彼らは、サッカー指導の専門性が高かった。
そして、子供達の扱いがとても上手かった。
それは、彼らの経験値がモノを言わせていた。
だからこそ、説得力もあった。
俺も、若い頃、良い指導者になりたくて、沢山学んだ。
プロリーグ、育成年代の試合やトレーニングを沢山見た。
そして、沢山の先輩指導者の方々から、貪欲に色んな話を聞いた。
その為、ドイツを拠点に、イングランド、オランダ、イタリア、スペイン、ポルトガル、フランスなどなど沢山の国へ出掛けて行き、見て聞いて歩いた。
いつも質問していた自分がいた。
それは、良い指導者になるためにだ。
そして、今、自分が見ている子供たちにどのように伝えていくかをいつも考えている。
子供たちには、大きな未来がある。
だから、その子供たちに接する指導者は、常に学び、経験しなければならない。
常に自分にも言い聞かせている。
東京から来た若いサッカー指導者は、たくさん質問して、俺の話を聞いてくれた。
そして、笑顔で『 頑張ります 』 と言い、東京へ帰って行った。
頑張れ!と言いたくなった。