昨日、うるさい子供たちを認めてくださった老婦人についてブログに書いた。
もう一つ、イタリア人の印象深い話がある。
イタリアを訪れていた時、夕飯を食べに、地元の人たちが集まるレストランへ入った。
大勢の人たちが食事をしていたのだが、テーブルとテーブルの間の通路を、子供たちが走り、駆け抜ける。
子供が走り抜けるのは、一度や二度ではなかった。
そして、ただ走り抜けるだけでは無く、ギャーと大声を出しうるさかった。
しかし、まわりの人々は、平然とテーブル毎に談笑しながら食事をしていた。
一つのテーブル。
そこでは、身体がかなり大きい人たちのグループが食事をしていた。
その人達は、明らかにイタリア人では無く外人だった。
彼らは、英語で会話をしていたし、白人で大柄だったので、多分イングランド人だと思う。
子供たちが、そのテーブルを走り抜ける度に、彼らは、不機嫌そうな顔をしていた。
また、子供たちがやってくると、今にも怒りそうな雰囲気になっていた。
そして、 とうとう 『シャーラップ!』 と子供たちを怒鳴りつけた。
その瞬間、1人のおじさんが立ち上がり、ツカツカとそのテーブルへ歩いていった。
彼は、隅のテーブルに1人で座り、赤ワインを呑んでいた。
彼は、外国人たちに向って、イタリア語で何か勢い良く、怒りながらしゃべっている。
俺は、それがイタリア語だ、とは分かるが、もちろん、内容までは分からない。
ただ、怒っているんだ、と言うのはわかる。
散々外国人たちをまくし立て、挙句の果てに、外国人さんたちに店から出て行くよう手招きし、追い出してしまった。
彼は、お店に来ていたまわりのお客さん達に笑顔で会話し、また、自分のテーブルに戻り、何も無かったように赤ワインを呑みだした。
一緒にいたイタリア人の友人が、彼のイタリア語を訳してくれた。
『 ここはイタリアだ。ここは、あなた達の国ではない。イタリアでは、子供たちは自由だ。子供たちをうるさいと思うなら、この店から出て行け! 』
外国人客がお店から出て行った後、彼は、笑顔で周りのテーブルのお客さんに言った
『 みなさん、すみませんでした。イタリアでは、子供は国の宝です。子供たちは、私のお店で騒いでも良いんですよ 』
その言葉に、まわりのお客さんも、笑顔でうなずいていた。
彼は、そのお店のオーナーさんだった。
今の日本は、子供がうるさいと、直ぐに迷惑がる。
うるさいのが罪のようだ。
しかし、子供は、うるさいのが当然ではないか。
うるさい!という大人だって、自分が子どもの頃には、うるさいくしていたはずだ。
もちろん、子供だって、時と場合を考えて騒ぐべきだとは思う。
しかし、イタリアのレストランで見た、あの感覚を社会全体のベースとして持っていたら良いなと思う。
子供たちは、将来、国を背負っていく。
だからこそ、何でもかんでも子供にうるさいから止めろ、では無く、子供たちが自然に健やかに成長できる社会であって欲しいと願う。
イタリア人のおじさんオーナー。
格好良い大人だ。
子供は国の宝。
その通り、納得できる良い話だ。