真夏の炎天下で、大人たちがたくさんスポーツを楽しみますか?
たくさん試合をしますか?
例年のことだが、先日、全国各地で高校野球の県予選が開催されていた。
結果のみならず、選手に熱中症が出て試合が中止になったというニュースも見た。
そんな中、選手が9人揃わない場合の対策として、0-9の敗戦になるという規定を作った県があると言うニュースも見た。
俺は、それを読み ???? だった。
9人子供がいないと野球の試合が出来ないからか、確かに、公式試合を続行するには参加人数が9人いなければ成り立たないのもわかる。
しかし、選手たちにとって良い規定では無く、試合中止を防止するための大人の事情による大会規定である気がする。
その根底には、子供が熱中症になることを前提として、後々調整も大変だという大会運営側の事情があるように思ってしまう。
甲子園での全国大会においては、エアコンの付いた部屋が用意されていて、ベンチにも熱中症対策がされているらしいが、他地域ではなかなか暑さ対策を充実させることは難しいのが現状だろう。
しかし、試合のために練習を重ねてきた子供たちを、公式な場で戦わせてあげたいものだ。
サッカーでも、昨年新潟で行われた高校生年代の国際大会で、参加していたセルビアの選手が2名熱中症になり、救急搬送されたという事があった。
セルビアチームの監督は、さんざん試合運営について抗議していたが、何も変わらなかったため、最終的に試合をボイコットしたと聞く。
俺は、こんな現実を見ていて、子供たちが熱中症になる可能性がありながら大会を実施するという、大人の考え方に異論がある。
今年、日本サッカー協会では、熱中症対策ガイドラインを発表した。
WBGT=31℃以上となる時刻に、試合を始めない。
WBGT=31℃以上となる時刻が試合時間に含まれる場合は、事前に『JFA熱中症対策※1<A>+<B>』を講じた上で、試合日の前日と翌日に試合を行わないスケジュールを組む。
WBGT=31℃以上の場合は、試合を中止または延期する。
https://www.jfa.jp/documents/pdf/other/heatstroke_guideline.pdf
日本は、長い歴史の中で、夏休み中に中学、高校年代の全国大会が行われる事が多い。
全国高校総合体育大会、全国中学校体育大会、それにプラスされるようにサッカー界では、日本クラブユース選手権 U-15(中学生)、U-18(高校生)などが開催される。
日本クラブユース選手権 U-18 は、日本で1位、2位を争う高温の町、群馬県前橋市で開催される。
たまに夏の全国大会を見に行くが、スタンドで熱風を受け、座って試合を見ているだけなのに、シャツがびっしょりする程ダラダラと汗が流れる。
そんな中、子供たちは暑いピッチで必死に戦っている。
俺は、よくこの状況下で試合をやらせるよな、と思っている。
ヨーロッパでは、夏にサッカーの公式戦が無い。
年代、国によって異なるが、俺が1860ミュンヘンにいた頃は、だいたい8月末か9月頭に子供たちのシーズンが始まり、6月末くらいでシーズンが終了していた。
だから、通常シーズンイン前の準備期(8月)は、オーストリア、スイスなどの標高が高く涼しい場所でキャンプ、合宿を行っていた。
それは、子供たちに限らず、ヨーロッパ中のプロチームも同様だ。
昔と今とでは、地球温暖化により明らかに気候が違う。
俺が子どもの頃は、28℃を越えれば真夏日だった。
しかし、今は、真夏の28℃なんて涼しいくらいだ。
30℃を越えることなんてざらであり、35℃以上になることも普通だ。
その夏場に公式大会を実施し、熱中症になる可能性が高いと分かっていながら、子供たちを走らせることは如何なものかと思う。
大人が試合を見ているだけでも暑いのに、その中で、子供には、『走れ、戦え』と言っているわけだ。
鍛えられた大人が行うプロサッカー(Jリーグ)やプロ野球でさえ、夏場は昼の炎天下では無く、夜のナイトゲームを実施している。
それなのに、子供たちに、昼間、炎天下の中で公式大会をやらせるとは如何なものか?
大会関係者など大人はテントの下で日陰にいるが、子供たちはグラウンド上、灼熱の太陽の下でプレーする。
強化の為の練習や、練習試合であれば、子供たちは、熱中症になる前に、指導者に体調不良を訴える。
しかし、公式大会であれば、子供たちは、試合結果、もちろん勝つために必死に走り、戦う。
だから、無理をし過ぎて熱中症になる可能性は高い。
『 プレーヤーズファースト 』と言う言葉がある。
今あらためて、日本の夏場のプレーヤーズファーストを考えることは必須である。