先日、ドイツサッカースクールが始まる前、スクール生のお母さんに言われた。
『 コーチ、登山したんですね。ブログ見ましたよ! 』
俺は、笑いながら即座に答えた。
『 泣きが入りましたよ! 』
言葉の意味とは裏腹に、笑える理由もちゃんとあるからだ。
そりゃそうだ。
登山初心者。
槍ヶ岳まで、上高地から2日間歩きっぱなしで上へ上へと登った。
2日間掛けてやっと登った道のりを、今度は丸1日で下る。
俺は、足が痛くなり鎮痛剤を飲んでの下山。
息子は、熱を出し、山小屋横にあった診療所で医師の診察を受け、薬を飲んで下山。
これだけでも悲惨だ。
とにかく、大変だった、の一言に尽きる。
なによりも山頂へのアタック!には参った。
崖をはしごで上がっていく恐怖感。
最後のはしごは、角度90℃。
命綱無し。
俺達の隊長「親父」は、俺達の恐怖を全く気にすることなく、すいすい登って行く。
親父は、俺達もスイスイ登るに違いないと思っていた。
だがしかし、そんな親父の思いは大はずれ!
簡単ではなかった。
親父に下を見るな!と言われても、息子は、つい見てしまう。
下を見ると足がすくむ。
あの、恐怖感はハンパなかった。
山登り素人の俺と息子には、本当にきつかった。
辱しめも無く、言えてしまう。
怖かった。笑
今となっては、笑えて良かったとつくづく思う。
スクール生のお母さんに、こう伝えた。
『 登山は大変だったけど、行って良かったですよ 』
丸2日掛けて登った頂上で見た景色は、言葉に出来ないほどの感動があった。
短時間とは言え、山頂での景色は素晴らしい。
思わず無言で見とれてしまうほどだった。
朝のご来光。
幻想的な景色。
自分の足で登った山だからこそ見ることが出来る景色に、感動。
今回の登山では、親父の存在は大きかった。
親父は、高校時代から松本深志高校・山岳部で活動した。
若い頃は、夏だけで無く、冬山にも登っていた。
ピッケルやアイゼンを使った過酷な登山もしていた。
実家には、親父と仲間が冬山で雪しか見えない山頂で撮ったモノクロの大きな写真が飾られている。
北アルプスなど日本の山はもちろん、ヒマラヤなど海外の山にも行っている。
現在は、母校山岳部OB会の会長をしている。
今回の登山でも、方位磁石、地図などを持ち、もし遭難するようなことがあっても対処できるよう準備していた。
登山素人の俺と息子には、親父が知識と経験のある頼もしい指導者的存在だった。
登山は、ただ歩くだけなんて簡単な事ではない。
今年も北アルプスで遭難した登山客が多くいた。
http://sbc21.co.jp/news/index.cgi?page=seventop&date=20160909&id=0286946&action=details
山は、天候の変化が激しい。
さっきまで晴れて暑かったのに、急に雨が降り出したら寒い、なんてことは当たり前だ。
その寒さが続けば体力を奪われるだけでは無く、身体の危険に繋がる。
登山をするのであれば、是非、経験者に指導を受ける事をお薦めしたい。
山は、海同様、一つ間違えると、大きな事故に繋がる可能性がある。
山登りの楽しさを味わうために、是非、良い準備をして欲しいと思う。
たくさんの人たちから、登山への反響があった。
親子三代、槍ヶ岳登山。
思い起こせば、大変だ、怖いと言う気持ちよりも、大きな達成感を得た気持ちの方が強い。
先日実家に寄った時、居間での雑談中、俺は両親に『 時間が合ったら、また、山に行きたい 』 と思いを伝えてきた。
だからこそ、登山について聞かれたら、
『 いつか、ご家族で登山をしたら良いですよ 』 と言えるようになった。