槍ヶ岳登山、最終日となる3日目。
4時起床。
陽が昇る前の槍ヶ岳。
今しかない、目を離すことが出来ない景色の美しさに見惚れた。
太陽が上がってくると、また違う景色になる。
自然の神秘な眺めに感動した。
出発準備をしていると、 俺の横で息子がだらーっとしている。
息子は疲れて眠いだけだと俺は思っていたが、『 熱がある 』 と母が言った。
今でも現役で保育に関わる母、さすがだ。
親父が山荘で体温計を借りてくると、本当に微熱があった。
夜中に咳もしていた為、息子は、前夜に常備薬を飲んだが、薬の錠剤数が足りず。
準備が悪かった。
運良く山荘の隣に慈恵医大の診療所があった。
早朝から、先生、看護師さんが息子を診てくれて、解熱剤、鎮痛剤、咳止めを頂いた。
本当にありがたかった。
そして、出発。
息子は、調子が悪そうだが、自らの足で山を降りるしかない。
気合いだ。
昨日、一昨日、下から登ってきた時はガスっていて頂上が良く見えなかったが、下山時は、天気が最高に良かった。
下から見る槍ヶ岳の堂々たる姿を眺めると、改めて登り切った充実感が増した。
雪渓。
槍沢。
槍沢ロッジの水力発電所。
この発電所の電気で、消灯後、ロッジ内非常灯などの電気をまかなうと言う。
何とか熱を出した息子も共に、上高地の横尾まで下山。
息子は、早朝微熱を出し、体調は悪く、薬を飲んでいた。
俺は、膝痛が日増しに悪化し、三日目は、一歩一歩に痛みが走った。
下山途中、痛みが酷過ぎて、俺は鎮痛剤を飲んだ。
痛み止めを飲みながら下山する事になるとは、思いもしなかった。
両親は、しょっちゅう登山をしているだけあって疲れはあるもののピンピンしている。
改めて、山の厳しさを味わった。
今回の登山は、山男の親父が孫に会話途中で山に行くか? と聞いた、そのふとした誘いが始まりだった。
半信半疑で準備を始めた俺だった。
しかし、共に歩き、汗をかき、助け合いながらの3日間、日常では味わう事のない時間だった。
両親のおかげで親子三代槍ヶ岳登頂成功!
下山してきた上高地で、両親と息子が並んで歩く後ろ姿が、ずっと目に焼き付いている。
貴重な経験をした。
両親に感謝。